一、変化と混乱の中で
二、心と身体
苦悩というものが、四六時中いつも心の中に在って、その状態がいつまで続くか分からない不安感と葛藤に満ちているならば、普通の人は、ほとんど鬱の状態になってしまいます。
だんだん冷静な判断や思考ができなくなってきて、物事をすべて悪い方向で受け止めてしまいがちになってしまうからです。
もちろん、仕事においては色々なケースがありますが、人が何かの問題で苦悩している最中では、あらゆることで、その問題に対する適切な受け止め方ができません。そのために、些細なことからトラブルになってしまいます。そして、自分に対して、あらゆる事が、自分とは全く逆に回転しているように感じられてしまうのです。そのような状況の時、なんとか自分の気持ちを明るくして、弾力的な手段や方法を使いながら、良い方向へ持っていこうとして努力しようとするのですが、なかなか自分が思っている方向へ持っていくことができないのです。そのために、最悪の結果になってしまうのです。
精神的不安感は、まず言葉に出てきます。感情が不安定で、感情のコントロールがうまくできない為に、言葉の表現が直接的になってしまったり、あまり良く考えないで、瞬間的に言葉を発してしまったりすることがあるからです。
もちろん、このことは個人的にも差はありますし、その問題にもよりますが、大きな苦悩に支配された状態とは、その人間の心の70%から95%位を、何かの問題によって占拠され、支配されている状態を表しています。ですから、その人の心のキャパシティ(容量)が相当大きくなければ、自分の感情をコントロールし、その問題を克服していくことはかなり難しいことなのです。自分の苦悩を調節、支配、克服することができる人とは、そういう逆境ともいえる苦悩の状態に以前、何度も立たされ、その厳しい状態を何度も経験し、自分の心の容量を拡大した人か、または、そのような経験を何度も積むことによって、心の抵抗力を増大させた人か、そのどちらかでしょう。心の容量の拡大と抵抗力の増大ということは、人間がこの現実世界を生きていく中で、自分が直接、体験して自分の身体で獲得していかなければならないものです。そして、このことは、どんな人でも、いつかは必ず行わなければならないことになっています。
人が苦悩にある時、
睡眠は浅く、熟睡はできなくなっているでしょう。
血圧はたぶん増加しているでしょう。
心臓の脈拍は依然よりも増加しているでしょう。
呼吸数も増えているでしょう。
常に頭痛がするでしょう。
食欲も減少しているでしょう。
怒りっぽくなっているでしょう。
胃の調子が悪くなっているでしょう。
薬(胃薬等)の量が増えてくるでしょう。
人づきあいが減っているでしょう。
歩き方が遅くなって、下ばかりみて歩くようになっているでしょう。
独り言や愚痴が増えているでしょう。
酒、タバコも増えているでしょう。
ため息が増えているでしょう。
何かに感激したり、感動したりすることが少なくなっているでしょう。
世の中のことについて、興味、関心が持てなくなっているでしょう。
一日の時間が長く感じているでしょう。
人間に対して、不信感が高まっているでしょう。
人間関係がギクシャクしているでしょう。
元気がなくなっているでしょう。
自律神経失調症になっているかもしれません。
心身相関医療では、人間の健康というものは、すべて、心の中にその原因があり、心が受けるストレスが、各器官、各細胞に影響し、それが病気として現われてくるとしています。
自分の力や、自己努力によって、少しでも、状況が変えることができるならば、その精神的負担は軽減されていきますので、いくら苦しい状態でも、それが苦悩する状態には至りません。
しかし、その問題が自分とは全く別の人によって、全て委ねられている場合があります。その場合は、自分の力によってはその問題は解決できないために、その悩みというものが、他の悩みよりも、より一層深くなってしまうのです。そしてまた、その状況が全く進展せず、前途に、その問題の解決策が見つからない状態が長期間に渡ってしまうと、それが悩みから苦悩になってしまうのです。
人間は、未来を予想し、考えることができる唯一の動物です。その能力があることによって、逆に、人間は自分の心を苦しめてしまうことになってしまうのです。そして、その苦しみが、自分から離れた所で、しかも自分の範囲を越えた所で自分を苦しめていく場合は、それが苦悩になってしまうのです。
このような時、一つの疑問が出てきます。それは、
「なぜ、自分が、こういう目に遭わなければならならないのか」
という疑問です。
一人一人の人生は、全て、目に見えない存在の掌の中にあります。それは、私達が、この世を去り、大生命界へ行ってみなければ分からないことです。私達人間にできることは、一つしかないのです。それは、その出来事や事態を受け容れることです。
その出来事や事態をすべて受け止めて、精神の抵抗力をつけていくことが人生にはどうしても必要なことなのです。
「神様は、その人に背負えないような苦しみは与えない」と言います。この言葉を解釈するならば、「神様は、その人が背負え、解決できると判断したから、その苦しみを、あえて、その人に与えた」と言えます。しかし、自分が苦しんでいる時では、人間には、残念ながら、自分の状態を客観的に理解、判断することがなかなか難しいことです。そのために非常に小さな問題でも大きく捉えてしまったり、感じてしまったりしたこともあります。また、感受性や主観または、様々な事情というものは、一人一人、皆、異なっていますので、他の人から見た場合では、たとえ、その問題が大したではないように見えたとしても、その本人から見れば、その問題が大問題である場合もあるわけです。
どんな場合でも、目に見えない存在や、自分の生命力が自己調節してくれますので、それを信じて、希望を失わずに、強い意志を持ち続けることが重要なことです。そして、自分の心の奥に宿っている超意識が、全てを調節してくれるのです。

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