三、心の持ち方・過ごし方
二、平静心
平静心を保つということは、非常に重要なことです。このことは、心の捉え方や治め方とも深く関係しています。この物質世界は、総てのものは常に変化していく世界です。それはあたかも大海のように、常に、大小の波が浮かんでは沈んでいくのと同じようです。そして、何一つとして、永遠不滅のものはありません。地上に生まれたものは、いつか必ず、滅びていきます。
そのように私達は、物質という非常に不確かな世界の中で、天地の不思議な働きによって支えられながら、この地上に生かされている存在です。自分の力では、自分の生命体の働きをコントロールすることさえ、不可能なことです。そのように、自分一人の力では生きるということすらできないということに気がついた時、人間は、自分の計らいを超えた大きな存在に対して、感謝せざるを得なくなります。もちろん、自分としては現状に決して満足することはできませんが、今現在、このように欠点の多い自分でも、この世に生かしてくれているという事実に対しては、どんな人でも、大きな存在に対して感謝できるはずです。
人生では、何が起きるか全く分かりません。ですから、何か出来事が起きた後からでも、その出来事をどのように捉え、自分の心を治めていくか、という事が非常に重要な事柄となっていくのです。なぜならば、それによって、自分の心という内的世界を、平静という安定状態へ持っていくことができるようになっていくからです。何故、心を治めるということが重要かというと、それは、心という内的世界が総ての原因の世界となっているからです。その心の状態が、やがて総ての外的世界へと現われて来てしまうからです。
アレキサンダーは、師であるアリストテレスから、「全世界を支配する前に、まず、自分の心を支配しなさい」と教えられました。しかし、アレキサンダーは、師の教えを完全に行わなかったので、全世界支配の夢は、道の途中で終わってしまいました。もし、アレキサンダーが、善悪二元を克服し、自分の心を完全に一つに統合し、支配していたならば、彼は全世界を支配できたのです。
もちろん、心という内的世界には、全宇宙さえも入ってしまいますので、そのためには、心の容量を増加し、拡大していくというプロセスが必要になってきます。また、一つ一つの事柄を、混乱した状態から平和な状態へ治めていくことは、数多くのプロセスがあり、それを昇華して安定状態へ移行していくまでは、人間は、その問題に対して、何回も葛藤し、苦悩していかなければなりません。
しかし、現実を支配する前に、どうしてもやらなければならない作業が、自分の心を治め、平静な状態にしていくという行為なのです。そして、自己の内的世界に何一つ波立つものが無くなった時こそ、総ての外的な事柄が、すべて平和の内に解決していく時であり、その準備が整った時と言えるのです。このように自分の心を平静な状態に治めることこそ、その問題に対する勝利を表す徴なのです。
自分の心を平静な状態に持っていくには、祈りと共に、瞑想と感謝行を行っていくのです。そして、その瞑想では、その問題が解決され、平和になった状態を思い浮かべていくのです。そして最後に感謝行をしていきます。宇宙や総ての生命体に対して、感謝していくのです。イエス・キリストは、「汝の敵を愛せ。汝の敵の為に祈れ」と語りました。
物理的には、人間は、一人一人、別々の存在です。そして、その人が、自分を脅かしてきたり、攻撃してきたりするならば、現実的には、その人を愛することなどできません。しかし、霊的真実として、大生命は一つであるという事実を知った人は、たとえ、そのような人であっても、大生命として自分と一つに繋がっているということを認めることができるのです。
そのようにして、一つ一つの要因を何度も葛藤しながら、時間をかけながら溶かしていきます。そして、大きな生命体の中で、祈りながら時間を経過していきますと、何らかの不思議な働きが始まり、徐々に相手の存在が気にならなくなっていくのです。そして、やがて、それまでの心の波立ちが消えていきます。
人生では、様々な事柄が待ち受けています。山があれば、谷もあります。天にも、昇るような気持になる時もあれば、死んでしまいたくなるような時もあります。
総ての生命と総ての宇宙を創造した存在は、私達に色々な体験をさせて、一人一人の生命体を、自分と同じように完成体とすることを目的にしているようです。
そして、自分という意識を明確に確立し、どんな運命の浮沈があっても、それに影響されずに、自分に与えられた使命を果たしていく存在になることを期待しているようです。
自分の心という内面世界を、自分を統御することによって、どんな荒波をも鎮めていき、そして平和に治めていくということは何と素晴らしいことでしょうか。そして、自分の心を治めることによって、その人の人生は、何と穏やかで、健康なものになっていくでしょうか。全ての世界の秘訣が、心という内面世界の統御にあります。ここに平静心の重要性があるのです。

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