五、体験から学ぶ
四、大政奉還の覚悟
生きていく上で一番必要となるものが、やはり経済的なものです。すなわち、金銭ということです。現在は、百年に一度とか超氷河期とも呼ばれる時代で、どんなに商品の価格を下げて安くしても、売り上げが伸びていかなくなっています。そのために商品が余り、全国的にデフレ状態が広がってしまいました。他の諸外国と比較するならば、日本人は、貯蓄率が非常に高いのですが倹約率も同じように高いので、その時の社会状況に大きく影響されてしまうのです。そのために、すぐに購買意欲が高くならず、人々の財布の紐が固い状態が続いてしまうのです。
また新卒の大学生さえも、非常に優秀な学生がいるにもかかわらず、不況という理由から、企業が採用を狭めてしまうことになり、就職難という厳しい状況を造り出しているのです。
1980年頃から、日本の製造業は、日本人の人件費が高コストである為に、多くの工場を、中国や東南アジアに次々とシフトしていきました。そのため、日本国内において生産工場が激減し、産業の空洞化が一気に加速していきました。そのために今や、この国の生産産業そのものが、大きなトンネル状態になってしまったのです。
そのために80年代から、中高年の人々が職を失われ、そして解雇されていくようになったのです。
その最も大きな理由は、企業が、他の国々や、多くのライバル会社との熾烈な競争に打ち勝っていく為に、物の価格を次々と下げなければならない状態になってしまったからです。そのために、最終的に、正社員の数を減らす政策が取られていったのです。そして、六か月毎に、契約を更新していくという派遣労働法が制定され、労働派遣が開始されることになったのです。それは、人件費等で、経営負担をできるだけ軽減し、会社をできるだけスリム化することによって、内外の厳しい状況を切り抜けようとしたためです。その結果、正社員の数をできるだけ少なくし、そしてパート社員を増やしていくことによって、いつでも簡単に解雇できるような新しい会社経営システムを造り上げたということです。
そして、会社経営の為に雇用者の大量解雇が容易にできる体制が造られたということと、この派遣労働法が実施されるということによって、それまで長年、その会社の中核であった多くの中高年の人々が失業することになってしまったのです。しかも、再就職した場合でも、派遣労働では、その賃金は低く、しかも、いつ契約解除になるか分からない状態を示しているのです。
そして、自民党によって数々の構造改革が開始され、道路公団や郵政民営化が徐々に行われていきました。この一連の構造改革と民営化によって、これまでの硬直化したシステムを改革し、改善していくということの時代的必要性は確かにありました。しかし、その一方、民営化の下で、多くの民間会社や民間人が、それによって大きな影響を受け、仕事を失い、失業していったという事があったのです。
明治維新の場合は、西欧列強諸国によるアジア侵略と外圧が強まっていく中で、アジアの中で日本だけが、その地理的な位置から、なんとか列強諸国の侵略から免れている状態でした。しかし、260年続いた幕府の封建主義体制では、既に幕府はおろか、日本という国家自体をも護りきれない状態になっていたのです。その老朽化した社会システムを捨て、西欧の新しい国家システムへと移行して列強諸国の仲間入りをしていくという大変革が明治維新というものでした。当時、幕府の将軍であった徳川慶喜は、大決断をして、江戸幕府の全ての権力を朝廷に大政奉還し、自らをゼロの状態へ奉還したのです。これによって、薩長を中心とする官軍によって、江戸城無血開城が達成されました。このように国家が大きく変化していく明治維新の成功裏には、江戸幕府の滅亡を意味する大政奉還という大決断を下していった幕府の覚悟があったことを忘れてはなりません。
その後、明治政府によって、市民平等、廃藩置県という大改革が断行され、全く新しい社会構造が造られていったのです。それは、江戸時代とは根本から異なる、新生日本の誕生でした。そのような状況の中で武士という階級も、その存在そのものも全て消滅していったのです。
終戦直後は、アメリカ合衆国の武力による完全占領でした。明治維新を第二の建国とするならば、これは第三の建国とも言える根本的な日本国家大変革の時期でした。この大変革は、アメリカ合衆国に対する日本の無条件降伏と、強制的占領という状況の下で行われたのです。つまり日本は、アメリカ合衆国に対して、完全な大政奉還を行ったわけです。その結果、日本という国家は、アメリカ合衆国による大権力によって、それまでの国家体制というものを、強制的に根本から造り変えられていったのです。
そして、平和憲法が造られ、天皇は国家の象徴となり、男女完全平等主義による民主主義政治が行われるようになりました。また、連合国による極東軍事裁判によって、戦争犯罪人が処罰されていきました。そして、それまでの旧体制であるものは全て廃止対象となり、そして一掃されていったのです。まず大財閥が解体されていき、多くの政治家が追放されていきました。そして、農地、教育、労働、宗教等の分野に渡って民主的大改革がなされ、明治以降の日本の屋台骨が根本から解体されていったのです。
そして昭和30年から続いてきた自民党も、2009年の夏の衆議院選挙によって民主党に大敗し、遂に、政治において政権交代が行われました。
自民党自体も、様々な内部腐敗や、制度疲労、そして内部矛盾と抗争によって、政権の限界というものを強く感じていたはずです。そして、この年、アメリカ合衆国において、民主党のオバマ大統領が勝利し、アメリカ史上初めての黒人大統領が選出されたということもあり、世界全体に何か大きく変わっていく雰囲気が満ちていたのです。そして、その流れは自民党の内部においても確実に伝わっていき、自民党内部においても、大政を奉還していく流れというものを強く感じていたのです。
この民主党による政権交代は、明治維新または終戦直後の大変革と匹敵するような大変革が行われていくことが予想されます。
地球環境そのものが大きな問題となっている中で起きた今回の政権交代は、ただの改革で終わることはないでしょう。戦後65年目に起きた新しい体制は、日本の社会を変革していくだけではなく、地球環境そのものを大きく変革していく大きな使命と役割を担っているからです。なぜならば、日本は、自然を愛し、自然を護り育て、自然を敬う国家精神を持っている国家であり、日本の全世界に対する使命は、まさに私達が住んでいる惑星の大自然と大生命である地球環境問題にこそあるからです。
私達が生きている現在の状況の中で、一人一人に問われている問いがあります。それは、
「この問題を、あなたは、どのように解いていくか」という問いです。
この問いを解くには、一人一人に時間が必要です。そして、その答えは、一人一人、それぞれ異なるものです。未来のことは誰も分かりません。しかし、ここで言えることは、自分の人生も含めて、総ての世界の運命は必ず良い方向に向かっているということです。総てのものは、様々な出来事によって紆余曲折しながら、より良い方向に進んでいくということです。そのことは、歴史がそれを証明しています。そして、自分自身に困難苦難が陥った時でも、この状況の中でも、何とか強く生き抜いていこうという強い意志があれば、限界の壁をぶち破ることができるということです。そして、私達には、人間の最大の自由として、自由意志というものが一人一人に与えられています。最終的には、たとえ、どんなに自分自身の環境や状況が悪くとも、自分の人生というものは、自分の手の届かない運命等によって決められるのではなく、自分が持っている自由意志によって、自分の人生が全て決定されていくのだということを強く信じていくことです。
そして、たとえ、自分が失業したとしても、または、どんな状況になろうとも、目に見えない世界では、既に次の職業が用意されているという事を信じていくことです。一つの扉が閉じていっても、必ず次の扉が開いて行くということを信じていくことです。何があっても大丈夫と思うことです。社会と人々の為に、何かお役に立とうという気持ちがあれば、必ず次の仕事や展開が現われてくるということを信じていくことです。自分の身体を健康に保ちながら、未来において、必ず自分という人間を待っている人や事柄があると信じていくことです。自分でしかできない事柄や、また、どうしても自分がやらなければならない仕事というものがあり、それらが自分という人間が来る事を、未来において待っていると信じていくことです。過去のことに自分の意識を置くのではなく、常に未来の事に自分の意識を置いていくことです。そして、何よりも、気力が一番大切です。人生に対して、どんなことがあっても最後の最後まで、120歳になるまで気力を決して失わないように、また無くさないように、自分自身によく言い聞かせて、自分自身によく折り合いをつけてあげることです。そして、肉体面だけでなく精神的にもフォローして、自分自身で自分自身に対して、よくめんどうみてあげることです。
日本は占領軍の政策によって、それまでの教育、宗教が否定されてしまった為に、戦後は、その反対の流れが始まり、非常に唯物的、無神論的な方向に傾いてしまいました。しかし、それは、それまでの日本が世界を知らず、人類としての教育が行われずに、非常に軍事的、政治的、宗教的に偏向していたことが根本的な原因でした。しかし、実際は、目に見えない生命体は存在していて、宇宙を創造した根源も存在しているのです。私達の本当の生殺与奪権は、そうした目にみえない存在によって握られているのだ、ということをまず知ることです。そして、一度その事実を知ってしまうと、人間はそれらの存在に対して祈らざるをえなくなってしまうのです。そうすると、人は自然に、目に見えないものに向かって祈り始めていくのです。やがて、その祈りが目に見えない存在に届いていき、全ての事柄が少しずつ変化していって、悪夢は徐々に消えていき、状況は段階的に改善されていくことになっていくのです。
全ての困難には大きな意味が必ずあります。
その困難を通過中は、苦しさから離れていない為、その意味が私達人間には分かりません。
しかし、その困難を通り抜けた時に、初めてその自分の困難の意味が分かってきます。目的地に着く為には、登り坂もあるのと同様に、下り坂が用意されています。その二つの坂を交互に、登り切り、下り降りていかないと人生の目的地へは着くことができないように人生はできているのです。その目的地は人生における一つですが、その大きな登り坂を登り切り、そして次に大きな下り坂を下り降りて、ようやく目的地に到着した後で、その人生の下り坂というものが、実は、天から自分に与えられたものであったことに初めて気づくことができるようになっているのです。そして、その時こそ、このように無力で愚かな自分という存在でも、困難を無事に乗り越え、生かさせてもらえたということに対して、本当に心からの感謝ができるようになっていくのです。

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